日本には母子だけの世帯が約75万世帯あり(父子だけの世帯約8万)、母親の平均年間所得が223万円(60%以上が200万円以下)と、非常に貧困率が高くなっています。
そこで、各自治体にはひとり親家庭において親と子供が病気やケガで通院や入院した時に、自己負担した医療費(一部または全額)を助成してもらえる制度が設けられています。
それが「ひとり親家庭医療費助成制度」です。
(参考サイト:ひとり親家庭等医療費助成制度│名古屋市)
ひとり親家庭医療費助成制度の内容
ひとり親家庭医療費助成制度は各市区町村で運営されているため、各市区町村ごとに助成される医療費の額などの条件が異なります。
ただ、助成対象者は全国どの自治体でもほどんど変わりません。
なお、ひとり親家庭の負担を軽減する目的で作られた制度ですが、「父母に重度の障害がある家庭」や「父母がいない家庭」も条件を満たせば助成の対象になります。
ひとり親家庭の助成対象者と条件
助成を受けるためには以下の条件をクリアしていることが必要です。
①健康保険に加入している。
②母子家庭の母、父子家庭の父とその児童、または養育者である。
③収入が限度額を超えていない(非課税世帯という場合有り)。
②の「児童」とは、18歳の誕生日以後最初の年度末日(3月31日)までの子供です(身体障害者手帳3級・愛の手帳3度以上の障害のある子供の場合は20歳まで)。また、以下の児童が対象となります。
・父母が離婚した児童
・父または母が死亡、若しくは生死が不明な児童
・父または母が一定程度の障害の状態にある児童
・父または母から1年以上遺棄されている児童
・父または母が法令によって1年以上拘禁されている児童
・母が婚姻によらないで出産した児童
・配偶者から暴力(DV)を受け裁判所からの保護命令を受けている児童
「生死が不明」とは航空事故や海難事故等によって生死が不明の状態を言います。
所得制限(例)
子供 | 申請者 |
1人 | 230万円未満 |
2人 | 268万円未満 |
3人 | 306万円未満 |
以降1人につき加算 | 38万円 |
助成対象除外者
以下の人は助成を受けられません。
・扶養義務者ではない単身の異性と同居、または事実上の婚姻関係にある人(婚姻届の有無に関わらず)
・生活保護を受けている人
・児童福祉施設、その他の施設に措置入所している人
・里親委託されている人
・他の医療費助成を受けている人
カードローンでお金借りることで助成対象除外者になると勘違いしている人がいますが、カードローンでの借入の有無は関係ありません。
ただ、生活保護を受けている場合は対象除外者となります。
医療費助成金額
助成金額においては各市区町村ごとに、「医療費の全額」、「医療費の一部」、「上限額を超えた分の医療費の全額」などとなっています。
医療費の支払
一般的に、病院の受付で「ひとり親医療証」と「健康保険証」を提示すると、その場で医療費の援助(一部軽減や全額免除)を受けられるようになっています。
中には、一旦全額自己負担で支払い、後日助成金が指定の口座に入金されるケースもあります。
助成対象費用
医療費・薬剤費・治療用装具代など
助成対象外の費用
以下のような健康保険適用診療以外の医療費は助成の対象になりません。
・入院時の食事代
・入院時の差額ベッド代
・健康診断の費用
・予防接種の費用
医療費助成制度の申請手続き
必要書類を持参して住居地の市区町村の窓口(子育て支援課など)で申請手続きをします。
資格審査において助成対象に認定されると「ひとり親医療証」が発行されます。
助成申請必要書類(例)
・保険証、・戸籍謄本、・マイナンバーカード、・身分証明書(免許証・パスポート等)
なお、ひとり親医療証は1年に1回更新されますが、事前に役所から案内が来ます。
ひとり親家庭医療費助成制度は自治体ごとに設定されているというのが特徴です。
子供は病院にかかることが多いので、忘れずに申請することです。